ボルカールールが生んだ商品市場の混乱の背景

投機マネーから庶民を守るために作られた「ボルカールール」。この法律が市場を混乱させた。

ボルカールールが生んだ商品市場の混乱の背景

11年5月6日に発表された米国雇用統計は前月に比べて改善した。そのために商品市場の景色も落ち着きを取り戻したかに見えたが、5月11日、ニューヨーク時間の昼過ぎに、ガソリン先物取引にサーキットブレーカー(値幅制限や取引停止などで大きく変動した相場を安定させるための措置)が発動されたことで一変した。

 

きっかけは、米エネルギー省発表の週間石油在庫統計が、事前予測の在庫減少を覆して急増を示したことだ。一気にガソリンが値幅制限いっぱいまで下落したことを受け、シカゴーマーカンタイル取引所(CME)は昼過ぎに、過熱抑制のための5分間売買停止という異例の措置を発動した。これは2008年のりーマンーショック直後以来の出来事である。

 

さらに引け後にはガソリン先物取引にかかる証拠金を21.4%に引き上げ、1日の値幅制限を25セントから50セントに拡大した。サーキットブレーカーと証拠金引き上げで投機を抑制する一方で、急落から逃げ遅れた(売り抜けられない)投機家のために値幅制限を広げることをいわば非常口を拡大したわけだ。しかしこの措置は、同時に投機的資金の新たな参入を刺激する効果も持つのでもろ刃の剣である。

 

結局この日のニューヨークーマーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエストニアキサスーインターミディエート)の1日の下げ幅は5%に達した。問題は、なぜ連日のようにこのような異常に高いボラティリティー(価格変動性)が生じているかということだ。

大手投資銀行はすでに自己勘定部門を縮小

そこには金融取引を規制するボルカールールの影響が明らかに見てとれる。

 

オバマ大統領の金融規制法(ボルカールールに基づくドッドーフランク法)は2319ページに及ぶボリュームで、各論の精査、審議は遅々として進んでいない。しかし同法発効を前提に、既に大手投資銀行は「投機的」と名指しされがちな自己勘定部門の縮小に動き始めている。

 

ウォールーストリートージャーナルはJPモルガンが商品先物部門の自己勘定部門縮小を進めていると、10年9月の時点で報じている。筆者のトレーダー仲間の間でも「誰それが解雇された」という話が昨年末に飛び交っていた。

 

フィナンシャルータイムズ紙はJPモルガンが自己勘定で抱えていた巨額の銀売りポジションが銀の価格上昇で買い手仕舞いに追い込まれたことを昨年12月に報じた。これが銀暴騰の引き金の一つにもなった。

 

問題は、このような大手投資銀行が従来、商品市場で顧客の売買を円滑にこなす潤滑油的役割を担っていたことだ。彼らはマーケットメーカーとして常に顧客からの大量の売買注文も瞬時に受けられる体制を構築してきた。ハード面ではアルゴリズム取引などによって、瞬時に大量に登場する売買をトラブルなく執行できるシステムを導入。同時に大量の売買勘定ポジションを自社勘定で持つことで顧客から出される売買注文を吸収し、円滑な取引を可能にした。

 

 

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日経平均は10000円処で膠着感の強い相場展開が続きそうだ。米債務上限問題に対する懸念からドルが売られる地合いが続いており、為替市場での円高が上値を抑える要因となる。一方、介入警戒感から円高が加速するとも考えづらく、下を売り込む展開にも向かわないだろう。結局のところは、米債務上限引き上げ協議の進展を見守る、様子見ムードが強まりやすい。為替相場ではこれをうけドル売りが進行。ドル売りが急激なためクロス円を買い持ちしているFX投資家のポジションのロスカットが大量に出ている模様。